炎炎ノ消防隊 ENN ENN NO SHOUBOUTAI 弐ノ章

SPECIAL

第4弾 守岡英行 キャラクターデザイン/総作画監督

TVアニメ『炎炎ノ消防隊』に関わるスタッフのリレーインタビュー。
第4回はキャラクターの根幹を担う守岡さん。

キャラデザは「モノマネ」から始まる

――アニメ『炎炎ノ消防隊 壱ノ章』では、原作から飛び出してきたかのような生き生きとしたキャラクターデザインが魅力的でした。守岡さんは今までも数々の原作があるアニメのキャラデザをされてきたと思うのですが、どのように平面的なキャラクターを「アニメのデザイン」へ落とし込んでいるのでしょうか。
これは僕の独自のやり方なので参考になるかはわからないのですが、まずは原作をざっと読みます。そのあとに、頭の中に残っている記憶や特に印象的だった部分を思い出しながら、それぞれのキャラクターのモノマネをするんです。

そうやって自分の身体を動かして真似てみると、原作のキャラクターが一度体内で分解されていくような感覚があるんです。目で見るだけではなくて、肉体的に感じるんですね。そこからそしゃくしたキャラクターの要素を踏まえて、自分の絵に再構成していきます。最後に模写をして、細かいすり合わせをして完成です。

――たしかに原作を読んでるだけでは届かないところまでキャラクターの理解が及びそうです。原作者の大久保先生は、とても絵やデザインに魅力のある方ですが、具体的に何かやりとりや要望などはありましたか?
特に細かい指示などはなく、とても自由にさせてくださった記憶があります。リクエストがあったのは、防火服やつなぎなど、服装のシルエットに関してですね。

こだわりは「筋肉」です!

――防火服の個性的なデザインなど、シルエットは本作でも特徴的な部分ですね。実際に原作を読んだとき、全体的な雰囲気はどのように感じましたか。
やっぱり大久保先生 のキャラクターデザインはとても優れていると思いましたね。シルエットだけで誰だかわかるし、それがキャラの性格や雰囲気をとてもよく表している。そのデザインの幅も多様で、モノトーンの使い方もうまい。世界観がしっかりと作り込まれたファンタジー作品ですが、キャラクターのデザインは親しみやすくキャッチーだと思いました。

――アニメを見て最初に感じたのは、シンラの表情の再現度の高さです。「緊張すると笑ってしまう」という独特な表情の作り方も見事に実現していると思いました。彼の表情を作る上で意識したこと、こだわったことなどあれば伺いたいです。
シンラの表情で意識したところは、口角の上がり方や眉の角度、瞳の大きさなどですね。ここで他のキャラクターと差異が出るようにしています。ただ、あのギザギザした歯は処理やバランスが難しくて、毎回苦労していました。

――守岡さんは今回キャラデザだけではなく、総作画監督も務めていますが、その立場でのこだわった部分なども伺いたいです。
筋肉です。僕の推しは、桜備大隊長です。あとはマキさんも好きですね。あとは、首筋や拳の描き込みもこだわりポイント。

弐ノ章では注目されていなかったキャラにもスポットが

――壱ノ章はキャラデザや作画の素晴らしさもSNS上でよく言及されていた印象です。守岡さんご自身は、アニメが放送されてみて反響をどう感じましたか。
手応えを感じたのは、第6話ですね。

――火華の過去が明かされる回ですね。
壱ノ章の中にいくつもの山場がありますが、ミステリー仕掛けの物語の謎が少し解け、そこにシンラが「ヒーロー」として登場するカタルシス。その後、物語がさらに大きく展開していく回だったので、視聴者の反応もよかったように感じましたね。個人的には第12話の浅草編が一番盛り上がりましたね。

――浅草編は第7特殊消防隊の焰ビトとの戦い方が豪快で、他の回とはまた一風変わった迫力のあるエピソードでした。
熱かったですよね。桜備と紅丸が相対する場面はストーリーとしても絵としても抜群によかったと思います。

――最後に来たる弐ノ章の見どころを、キャラデザや総作画監督というお立場から伺いたいです。
やっぱり、新シーズンということで新しいキャラクターたちには注目してほしいですね。どのキャラクターもみんな個性的で、表情が豊かです。各々の魅力が最大限に引き立つように考えてデザインしました。

それに加えて、今までスポットの当たらなかったキャラクターにもそれぞれにエピソードが用意され、さらに見ごたえのある内容になっていると思います。壱ノ章同様、終盤へ進むにつれて物語も加速していきますし、作画のテンションも上がっていくので、ぜひ最後まで第8の活躍を見届けてほしいですね。

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